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森と伝統的集落の旅 その1

富山 岐阜の旅


アクシデント
羽田空港から富山空港へ。川沿いに造られている富山空港は、よく霧がかかる。この日もそうだった。出発は、30分遅れ。もし駄目な場合は、小松空港へおりる。さらに小松空港が駄目な場合は、東京へ引き返すことになる。ともかく出発。富山上空に入り着陸態勢に入る。モニターから飛行場が見えた。一安心と思ったのはつかの間で、着陸寸前で霧が濃くなりモニターから滑走路が、突然消えた。飛行機は、直前に着陸を断念。すぐさま高度を上げた。ひやりとする。そのまま上空で待機。初めての体験だった。....30分以上富山上空を飛んでから運良く着陸した。

黒部峡谷へ
飛行場からタクシー、電車を乗り継ぎ宇奈月駅へ向かう。宇奈月駅から黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)で最終駅「欅平」へ向かうのだ。外は小雨。私たちの乗るトロッコ電車は、運悪く窓がない。今日は5月24日。当然山では、肌寒い。高度が上がり、電車の起こす風で体感温度は相当下がる。ともかく寒かった。しかしそれを忘れさせたのは、深い原生林が織りなす景観が、圧倒的だったこと。山は垂直方向へ勢いをもち、雨の為川の流れは広く、急で、高度を上げる電車は、大げさに言えば、神の国近づくかのごとくだった。
この鉄道を造った人々のことを考えた。山を削りいくつものトンネルを掘り、線路を引き、ダムを造った人を思った。不慮の事故で亡くなった方を思った。山のあちらこちらに白い帯のよう名もが見えた。石灰岩が露呈した物かと思ったが雪だった。高度300m位でも万年雪がある。涼しいといっても温度は夏場にはかなり上がる。溶けても良さそうだがたぶん冬の雪が相当な物で、雪が圧縮され、溶けるまでに次の冬を迎える為だろう。
その日は宇奈月へは泊まらず、富山へ引き返した。
雪は圧縮され上に土砂が少し堆積する。
その下を水が流れていた。夏場も雪はなくならないで、次の冬を迎えるのだろうか。
何ヶ所かダムを見た。どこも人の気配はなかった。
沿線には民家が全くない。
黒部峡谷鉄道パンフレットより
黒部峡谷は、北アルプスの立山連峰と、白馬岳・鹿島槍ヶ岳を連ねる後立山連峰との間に、深く刻み込まれた大峡谷で、昭和9年に中部山岳国立公園に指定されました。
この峡谷を流れる黒部川は、八千八谷といわれる数多くの渓流をあわせながら、富山湾の注ぐ長さ86kmの大河川です。
※現在は観光鉄道として活躍していますが、もとは電源開発工事と共に歩んできた歴史があります。
多くの温泉があります。
富山県五箇山へ 村上家
 五箇山は富山県の南西部白川山系の北端の秘境だ。大変な豪雪地帯。そこから生まれた知恵の建造物がこの合掌造りだ。現在は国道などが整備されてきたが、冬場は雪で交通もままならないと聞く。現在でも信号機などほとんどない。
 雪に閉ざされた厳しい環境から、「こきりこ」も生まれたのだろう。
約400年前に建築されたと伝えられる合掌造り 4階建て
ともかく大きな屋敷だ
五箇山は世界文化遺産になっている「相倉合掌集落」がある。私は、実際ここは通り過ぎただけで実際に見学させていただいたのは、「村上家」だ。ここは、一般に開放されていて、ご主人が、、囲炉裏でお茶を入れてくれて、いろいろな説明をしてくれる。質問にも答えてくれる。
 また郷土楽器の「筑子」(こきりこ)を鳴らしながら、あの筑子を唄ってくれる。この唄は、楽器の名前からきていたのだ。単純な2本の竹の棒だ。薄暗い合掌造りの屋敷。囲炉裏の煙が少し立ちこめる中、民謡独特のあの高い音域、声域ではなく、語るような低めの音域でしみじみと唄ってくれた。本当にこのままずっと聞いていたくなる。
こきりこの竹は七寸五分じゃ 長いは袖のカナカイじゃ
窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン
唄ってくれたご主人
民謡はその土地で聴くのが一番美しい。

越中五ヶ山筑子唄保存会パンフレットより
昭和50年、英国エリザベス女王来日の際、宮中晩餐会に「こきりこ」が日本を代表する古謡として、バック音楽に流されるという光栄に浴した。......
 永久保存が叫ばれている合掌造りとともに、「こきりこ」は五箇山を代表する歴史的遺産として末永く保存されると同時に、心のふるさとの唄として慕われていくであろう。
内部の柱や梁
梁は太く曲がっていて上手取り入れることでかえって強度が増すそうだ
内部の展示品 元祖大根おろし道具

屋敷の中は、風情を壊さないようにして、生活用品などが展示されている。ほんとうの「こだわり」だ。今の道具のルーツだ。村上家のように遺構がここまで保存されている所はそうはあるまい。

五箇村には、日本の原風景がある。建物と自然との調和がすばらしい。時がゆっくり流れる。。

村上家
富山県東砺波郡平村上梨

村上家すぐそばの五箇山風景。
冬の豪雪はとても思い浮かばない。


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