堂ヶ島は西伊豆にあたる。黒潮の影響で、年間を通して温暖な気候。リアス式海岸と小さな島々が美しい。変化に富み、景勝地が多く、多くの観光客が訪れる。三島から堂ヶ島までは車で1時間半から2時間だろうか。堂ヶ島に近づくと、遠く雪をかぶった富士山が姿をあらわし、リアス式の海岸線と相まって、絵画にしたくなるような構図を私達に提供してくれた。途中、加山雄三の愛船・光進丸が車中から眺めることができた。海は穏やかで、風もなく、のどかだなと感じていたのだが、実は荒れていた。これから予定していた、堂ヶ島の遊覧船は、本日欠航となっていて、遊覧船での島めぐりは中止となってしまった。急遽、明日予定していた「らんの里堂ヶ島」見学へと変更になった。
らんには特別興味がない。らんだけでなく植物自体にさして興味が湧かない。しかし予想に反して、なかなか見応えのある施設だった。植物園と自然の散策コースに分かれ、まずオーキッドゾーンと呼ばれる植物園へ向かう。斜面を上へ登って行くのだが、その通路が先に何があるのかわくわくさせるような作りになっている。途中まず建物の外観を目にするが、植物が絡まったコンクリート剥き出しの建造物で、なにか一瞬廃墟を見せつけられた思いだ。そしてその中へ入るとコンクリートの無目的と思えるような大きな空間に、大きな垂れ幕、カーテンがつり下げられている。なんとも無機質的な空間が気になる。エレベーターで上へ上がるとそこは別世界だ。エレベーターを降りた正面には、らんで彩られたツリーと、踊りながら歌うサンタのロボットが迎えてくれる。そして時々シャボンを放つ。全体は温かみのないコンクリート。しかし光をいっぱいに取り入れようとする窓と天井窓。そして空間いっぱいに広がる緑。鮮やかな花の色彩。それらが冷たさを打ち消す。コンクリートと緑とのコラボだ。人工物と自然が仲良くなった空間はなにより面白い。通路は大きく変化、うねり、外のフォレストゾーンへと誘う。そとは海と山々を借景とした公園が広がる。どこか回遊式庭園を思わせる。外へ出ると正面に大きな吊り橋がかかり、早くそこへ向かいたくてわくわくする。また展望台からの眺めは最高だ。また訪れたくなる公園だ。
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