お客様へのおたより
「フライパンがこびりつくようになってしまいました。」のお客様のお便りのご返事を整理して。 |
肉厚の鉄器は大変蓄熱性が高く、素材を入れたときの温度の下がりが極めて少なく、熱が均一に伝わりますので、こびりつき、こげつきにくい性質を持ちます。また細かな表面の砂型に油が良くなじみ、さらに油と良くなじむ炭素が表面に浮き出していますので、これもまた大変こびりつき・こげつきにくい性質となっています。これはフッ素コートとの考え方とは全く違います。フッ素コートはその樹脂により料理素材との密着を切り離なそうとします。その結果、熱の伝わりが弱くなり、油とのなじみも薄れ、油が玉になり、油の焼ける良い風味がなくなります。 上記のように鉄器は大変こびりつき・こげつきにくに性質を持ちますが、「最近どうもこびりつき・こげつきがおこるようになった」とのお手紙をいただきました。そのご返事(原因や対処法)を整理してここに印したいと思います。 ●加熱が足りない。・・・南部手鉄器の場合、まずフライパンを強火で少しの時間熱して、油を入れ、その油を均一に伸ばした後、さらに加熱します。十分フライパンに熱を蓄えさせることが大事です。その時の加熱が不十分ですと、表面に熱ムラが生じ、こびりつきの原因となります。(目安は玉子を入れたときジュワという音がする温度です。)この加熱、始めはできていても、慣れてくると忘れることがよくあります。 ●加熱しすぎ。・・・鉄器は蓄熱性が大変高いので、一度たくさんの熱が蓄えられ、その熱が素材の芯まで熱をとおし、料理を美味しくさせます。ただ一度たくさんの熱を蓄えた後は、中火でもかなりの熱量を放出します。ですので長い時間強火にしていますと、こげつきが発生することがあります。鉄器に十分熱が蓄えられましたら、中火以下にして調整して下さい。 ●表面にこげ・汚れが付着している。・・・まだ熱いうちに(急冷はいけませんが)お湯か水で洗っていただくとほとんど汚れは落ちると思います。(中性洗剤はご使用にならないでください。)ただそれらが不十分でこげ・汚れが付着したまま次に鉄器を使用しますと、そのこげ・汚れが、熱と、入れた調理素材と反応し、さらなるこげ・汚れへと続いてしまいます。この場合は中性洗剤を使用して下さい。またフライパンに湯をはってしばらく煮立てるとよく汚れが落ちます。重曹で磨くこともお奨めです。その後最初に戻って油慣らしをして下さい。(油を必要以上奪ったと感じたら油を表面に補給して下さい)通常での中性洗剤のご使用は、せっかく馴染んだ油を取っていまい、こびりつきの原因となります。通常でのご使用はおやめください。 ご参考に:地の塩社・ちのしお重曹(国産) ●冷凍食品など温度の低いものを冷蔵庫からすぐ出してご使用・・・鉄器は蓄熱性が高いとはいえ、鉄器の表面を急激に下げる温度の低い料理素材を入れた場合、さすがの鉄器も対応できなくなり、こびりつくことがあります。こういう場合はできるだけ料理素材を常温に戻し、ご使用ください。 ●液体調味料で・・・塩・砂糖などを多く含んだ液体調味料を底面に直接つくように入れた場合、熱い鉄板が急減に水分をとばし、残った成分と熱が反応して、こげつくことがあります。私の場合はそうならないように液体調味料を入れるのを後に回したり、料理素材をさっといれ、全体を早く絡めたりすることで防いでいます。 ●油ならしが均一に行われていない・・・油ならしを表面に均一に行ってください。 鉄器は使用する過程で、鉄そのものが変質し、こびりつき・こげつくようになることは、絶対ありません。また鉄器の表面加工はフッ素コートと違い、こびりつき・焦げ付きを直接的に防ぐものではありません。もし空焼きしてしまい、表面を損ねたとしても、性能が落ちることはありません。これらは鉄器のすばらしい特性です。そして上手に育てていただくことで、使いやすいお客様のマイ・フライパンへと成長していきます。大事に育ててあげてください。 ■こちらもご参考にして下さい。▲チャーハン・焼きそばがうまくできない(こびりつく) |
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