夏野菜 カラッと 天ぷら

夏は暑さで食欲が落ちますが、あまりさっぱりしたものばかり食べていたら体力も落ちますし、
栄養のバランスも悪くなります。そこで不足しがちな野菜、そのてんぷらなどいかがしょう。


読売新聞 2001年 7月13日 朝刊 「家庭とくらし」より

夏野菜 カラッと てんぷら

まずは材料選び。夏野菜はどれも油との相性がいいが、特に、ナスは外せない。カボチャやニンジンは、カロチンを多く含んでいる。「彩りも大切です」と、中村先生。
 次に材料を切る。カボチャは厚さ7mmほどのくし形にし、ニンジンは食べやすい千切りに。4つに割ったナスに切り込みを入れて開き、扇の形に。インゲンは両端を取る。
 中村先生が次々に手本を示す。シシトウは揚げるときに破裂しないよう竹ぐしでつついておく。シソの葉は鮮度を保つために水につけてふき、重ねておく。「切り方をちょっと工夫するだけで、見た目が美しく、おいしそうになります」
 
 ◆◆今回一番のポイントは、衣作り。カラット揚げるのには十分に冷やすことが大事。まずは、卵と冷水をかき混ぜて、むらが出ないようにふるいでこし、ボウルに入れて冷蔵庫で2、3時間寝かす。料理中も揚げ終わるまでは、ボールを氷水に浸しておく。
 小麦粉は一度ふるいでふるって空気を入れておき、さらに卵水と混ぜ合わせる時もふるいを使う。
ただし、衣に粘りけが出ないように、混ぜるのは揚げる直前。その際、はしで縦横に切るようにして混ぜる。「完全に混ぜてしまわず、粉が上に浮いている状態でやめてください」。これも粘り気を出さずカラッと揚げるためだそうだ。
 
 ◆◆いよいよ、揚げる作業へ。ベニバナ油を使えば軽く揚がるが、適度な色と香りも付くようにゴマ油も加える。
 温度は180度。「衣を落としてすぐに浮き上がれば、170度は超えているので入れていいです」
 硬いものから揚げる。衣が付き過ぎないように気を付ける。カボチャは浮いたら返し、水平に浮いてくるようになったら、大丈夫。ナスは衣の付いていない根本の部分に焦げ目が付けばOK。シシトウは浮き上がり、はしで触ってばりっとした感じがすればいい。「温度を一定にするために、火加減はこまめに」。シソの葉はすぐに揚がるので、火を弱めて少し低い温度でゆっくりと。インゲンは2本一緒に。かき揚げ状にするニンジンは、最後に揚げる。時間がたって衣に粘り気が出たくらいがまとまりやすいからだ。
 
 ◆◆シジミのみそ汁とぬか漬けを一緒に頂く。てんぷらは野菜の甘さが口中に広がる感じ。大根下ろし入りの天つゆもいいが、この季節は塩を加えたカレー粉もいい。揚げ物が苦手だったのも忘れてしまいそうなくらい、素材の味が生きていた。

▲岩鋳・天ぷら鍋 ▲久慈の砂鉄鍋