月島、浜離宮恩賜庭園、隅田川の水上バス
今回目的は月島。もんじゃを食べる、それだけが一応目的だった。店を出て、少し歩くと有名なかちどき橋。そして築地市場、浜離宮の案内板がある。近辺の地図が全く頭に入っていない私にとって、これは恐ろしく不思議なことだ。有名な場所が、複数すごい近い距離にある。これは東京散歩していてよく感じることだ。歩いていると、有名なところと有名なところが、実はくっついていたりすることを知る。東京は伸び縮みするかのごとく、距離感を惑わせる。常に私の頭の中にある、できの悪い地図の再構築を迫る。 面積に対して圧倒的な人口、網の目に広がる交通機関、そして大量の情報量。これらを持つ東京という世界は、著しく生活空間を膨張させている。東京を歩いてみると、知識や情報で巨大に膨らんだ姿をした東京と、歩いて感じ取れる、実はさほど大きくない実質の東京との落差を感じ取られる。これは東京散歩の大きな楽しみのひとつでもある。 浜離宮恩賜庭園に出くわしたのはすごい驚きだった。浜離宮は首都高速や鉄道に取り囲まれ、なんだか奇跡的に生き残った大きな公園というイメージを持っている。ともかくよい機会だ。中を散策させて頂くことにした。 <浜離宮について> パンフレットとチケットより抜粋し、自分なりに整理してみた。 浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん) 広大な池泉に海水を導き、潮の干満によって庭趣に変化をもたせた※1潮入りの回遊式築山泉水庭。 ※2二つの鴨場がある。 ・もともとはアシの生い茂る将軍家鷹狩の場であった。 ・承応年間(1650年代) 甲府宰相松平綱重の別邸になる。庭園として造成。 ・綱重の子、綱豊(家宣)が六代将軍になったのを契機に、将軍家の別邸、名を浜御殿と呼ばれ、大改修された ・歴代将軍によって 幾度かの造園 改修工事。 ・十一代将軍、家斉の時代に、現代の姿の庭園が完成。 ・明治維新後、宮内省所管となり、名を浜離宮とする。 昭和二十(1945)年東京都に下賜され、翌年より一般公開。 昭和二十七(1952)年 国の特別名勝 特別史跡に指定。 関東大震災、太平洋戦争により建物や多くの樹木を焼失したが、お伝い橋のかかる潮入りの池や鴨場等に往時の面影を残しており、江戸時代に発達した大名庭園を代表する貴重な文化財。 ※1潮入り池:海水を引き入れ、潮の干満によって池の趣を変える様式。東京湾の水位の上下に従って水門を開閉し、池の水の出入りを調整している。池にはボラ、セイゴ、ハゼ、ウナギなどの海水魚が生息している。 ※2鴨場:庚申堂鴨場、新銭座鴨場の二つがある。鴨場とは池に細かい堀を設け、小のぞきから鴨の様子をうかがいながら、稗(ひえ)、粟などのエサとおとりのアヒルでおびきよせ、機をみて土手の陰から網ですくいとるという猟を行っていました。 浜離宮恩賜庭園は、まるで時代に取り残されたかのように都会の喧騒の中に静かに佇んでいる。歴史ある園内の緑の奥に屹立するビル群は、園内の森と著しい対照なし、無機質な感覚をして、なにかSFドラマのような舞台を作り上げている。浜離宮は池の面積が大きく、都会のオアシスという感じ。今回月島から歩いて、偶然、浜離宮に出くわした。まったく、行き当たりばったりの行動。次はもちろん決めていない。しかし次の行動は、ちゃんとこの公園が決めてくれた。それは公園の中に隅田川の水上バス発着場、隅田川の駅があったのだ。これには驚いた。さすが名庭園だ。前から水上バスの船下りがしたくてしょうがなかったので、乗船を即決。向かう駅は、帰りを考えてJRの駅がある両国にした。 水上バスに乗船すると、外国人の多さに驚いた。隅田川は立派な観光資源なのだと思った。水上バスはかなり速い。船を推進させる方法はどんな方法かわからないが、船尾の水位がびっくりするような高さになって波というか泡が巻き上がっている。隅田川クルーズの楽しみのひとつは、川に架かった橋を見学することだ。形状の違う多様な橋を眺めるのは楽しい。前に隅田川の橋の中でも、もっとも有名で人気のある橋、清洲橋について書いたことがある。(こちら▼日本橋人形町)この橋の上から川面を行く水上バスを見たが、今度は船より橋を見上げることになった。一寸不思議な気持ちがした。心地よい風を受けながら、船は進み、いくつかの駅にとまり、目的地の両国で降りた。 船着き場から両国駅へ向かう。すぐに両国国技館が威風堂々とした姿を現した。相撲を生で見たことはない。両国国技館ですら、近くで見るのは初めて。実は数ヶ月後、両国国技館での相撲観戦の機会を得た。・・・枡席での観戦だった。熱気あふれる館内。気持ちが高ぶる歓声。土俵入りの見事な様式美。力士の激しいぶつかり合い。そして2段重ねのお弁当、酒、肴、たくさんのお土産。楽しいことのオンパレードだ。・・・ 目的をひとつだけ決めて、後は現場で目、耳からはいる情報に動かされながらのぶらり旅。身近な東京はとてもエキサイティング。 |