伝統的工芸品とは |
堀江 皓著 「南部鉄器」 理工学社 より 伝統的工芸品とは、昭和49年5月25日に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(略称:伝産法)を根幹としています。 同法は、生活に豊かさと潤いを与える生活用品として、一定の要件を満たす伝統ある工芸品を通商産業大臣が「伝統的工芸品」として指定し、その工芸品産地の振興を図るために種々の振興対策を定めた法律で、その後の社会環境の変化などから、平成4年に大改正が行われ、現在に至ります。 伝統的工芸品指定にあたっての一定の要件とは、次のとおりです。 主として日常生活の用に供されるもの。 製造過程の主要部分が手工業的である。 伝統技術または技法によって製造されている(原則として100年以上の歴史を有し、今日まで継続していること)。 伝統的に使用されてきた原材料によっている。 一定の地域ででの産地形成がある(原則として10企業以上もしくは30人以上の従事者を有する)。 以上の要件を満たして指定された伝統的工芸品は、個々の商品に「通商産業大臣指定伝統的工芸品」という表示を付し、また、その中でも、品質保証つまり一般普及品と区別する識別指標として「伝統マーク」を使った「伝統証紙」を使用することができます。 このような伝統的工芸品産業振興に関する事業は、昭和50年7月1日に設立されました財団法人伝統的工芸品産業振興協会(略称:伝産協会)が行っています。また、伝産協会では、伝統的工芸品の後継者確保育成を念頭に、「伝統工芸士認定試験」を実施し、またその社会的地位向上を図るために合格者を「伝統工芸士」として認定しています。受験資格としては、伝統的工芸品などの製造に現在も直接従事し、12年以上の実務経験年数を有する者と定めています。
なお、伝統的工芸品は、陶磁器、漆器、木工・竹工品、金工品、仏壇・仏具、和紙、文具、諸工芸品、織物・染色品、その他繊維製品、伝統的工芸用具・材料と区別され、平成10年8月の時点で192品目が指定されています。 南部鉄器については、昭和50年2月17日に第1次指定を受けました。 |