南部鉄器 健康ブームに乗る

  平成時代に入り、「安心」「安全」「環境」に価値を置いた消費スタイルは「地球と自分に優しく」のキーワードで語られるように、急速かつ着実に生活の中に浸透してきた。深刻化する地球環境や食品汚染への脅威 、さらにダイオキシンや環境ホルモン問題は、健康と環境との分かちがたい関係を改めて人々に突きつけた。このため、心理的な安心感を得るために「安心・安全」なイメージをもつ商品に頼る傾向がみられるようになった。
 また、安心して生活できる老後を保障してきた公的年金や健康保険制度の行き詰まりは、長寿化社会における大きな不安を露呈することになった。その結果、より実利的な健康志向も目立ってきた。
 こうした健康志向の高まりの中で、平成7年4月、NHKデレビの新番組「ためしてガッテン!」がスタートした。この番組は、日常生活で出会う健康生活についての身近な疑問や謎を、ユニークな実験により、優しく正しく理解してもらうのがねらい。
 司会の立川志の輔や山本志保アナウンサー(平成9年4月以降は小野文恵アナウンサー)はじめ、制作スタッフが知恵を絞り、多くの専門家の協力を得て、毎週水曜日午後8時から放映、健康ブームに乗って一躍、人気番組となり、7年を経過した現在でも続いている長寿番組でもある。
 そして、平成9年3月26日に放映された「貧血 その正体は? どうしたら防げる?」で、鉄瓶と鉄鍋が一躍、脚光を浴びることとなる。
  ある実験では、味噌汁やビーフシチュー、お茶を鉄鍋で作った場合、料理に 含まれる鉄分は鉄鍋を使わない場合に比べて、1.5倍プラスされた。しかも、その鉄分は吸収されやすく、生のほうれん草に換算して178g分で、鉄鍋の鉄は吸収率が抜群という実験結果が示された。
 この番組が放映されるや、翌日から電話の問い合わせが殺到した。

岩鋳 百年史より


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