木製品のお取扱い <漆器>

資料提供 酒井産業株式会社

初めてお使いになる前に
新しい漆器・長くしまい込んでいた漆器は、眠っているような状態です。漆器がびっくりしないように、一度ぬるま湯に通して「準備運動」させてからお使い下さい。
長期間使用しない場合は、付属の箱に入れ、高温・多湿・直射日光を避けて保管して下さい。

臭いが気になるときは
新しい漆器は漆特有の臭いがします。特に、熱い汁が注がれた時は、臭いが強く感じられます。この臭いは「漆の主張」と喜ばれることもありますが、臭いに敏感な方にはつらく感じられることもあります。

・時間がたてば臭いは抜けますが、急いで臭いをとる場合は、ボール一杯のぬるま湯に、ぐい呑み一杯くらいの割合で食用酢を混ぜ、繰り返し何度か洗って下さい。
・時間に余裕がある場合は、米びつの中に数日間入れておく方法もありますが、逆に、お米の臭いが移る場合もありますので、ご注意下さい。

お手入れがご心配な方に
漆は一度固まれば、酸やアルカリ、アルコール、金を溶かす王水、硝子を溶かすフッ化水素などの化学薬品でも溶かせない、想像を絶する強さを持った夢の塗料です。
特別なお手入れが必要だと思われがちですが「自然界の素材だから、手肌に辛いことは漆器にも辛い」というウィークポイントがあるだけです。「手肌と同じ」に扱って下さい。
よくあるご質問から、漆器との楽しい触れ合い方を記載いたしますので、どうかご安心の上、楽しんでご使用下さい。


漆器をよりよくお使いいただくためのQ&A

Q1.特別な洗剤やタワシ類が必要ではないですか?
・一般的な食器用洗剤と柔らかい食器用スポンジはご使用いただいて構いません。ただ、原液を直にふりかけたり、長く湯水や洗剤液の中に漬け置かないで下さい。
・漂白剤・パイプ洗浄剤などの強い洗剤や、金属タワシ・研磨剤付きのスポンジ・クレンザーなど削り落とす道具や洗剤のご使用は、絶対にしないで下さい。

Q2.長持ちする洗い方のコツを教えて下さい
・木より硬いものとぶつかると、凹んだり、傷がついたりします。陶磁器・硝子・金属などの食器とは分けて洗うようにして下さい。
・分け洗いと聞くと大変な気がしますが、どちらかを先に洗ってしまえば良いだけです。
また、スポンジでも布でも、あまり力を入れてゴシゴシ拭くと、表面に微細な傷がついて曇る場合があります。水気を取るには、柔らかい布でやさしく拭いて下さい。

Q3.電子レンジや食器洗浄機は使用できますか?
・電子レンジは内部から熱するため、木材・漆液の水分や空気を急激に排出させ、漆が鳥肌状態になって剥がれてしまいます。絶対に使用しないで下さい。
・食器洗浄機や乾燥機もご使用出来ません。熱風を長い時間当てられることから、木が収縮し、変形する恐れがあります。
・「エアコン」と「ガス」について。扉のない食器棚に冷暖房の風が常時当っていたり、汁をよそう時に火がお椀の底をあおっていたり…。気が付かないうちに木の水分を「一部分だけ急激に奪っている」ことによって変形させてしまうことがあります。くれぐれもご注意下さい。

Q4.どのように保管すれば良いですか?
・漆器は紫外線には脆い一面を持っています。直射日光が当たる場所に長く置くと、変色する危険があります。人間のシミ・ソバカスと同じです。真夏の強い陽射しの場合、急激な乾燥による変形の危険もありますので、日光に当たらない場所に保管して下さい。
・また、食品を入れて冷蔵庫に保管しないようにお願いします。冷蔵庫内は乾燥が強いこと、また、食材の跡が付着しやすく、汚れを落とすために強く洗ってしまう危険があります。
・食器棚に収納する際には、ちょっとしたことですが、陶磁器類より漆器を上にして下さい。
長期間使用しない場合は、布に包んで箱に入れ、高温・多湿・直射日光を避けて保管して下さい。

Q5.木でも落とすと割れますか?
木も、落としたりぶつけたりすると割れてしまいます。
特に、縁周りの薄い部分の木目に添って力がかかると、わずか20cmくらいの高さからの落下でも割れる場合があります。お取扱いには充分ご注意下さい。

Q6.変形してしまいました。真上から見て楕円になってガタツキます
乾燥や多湿などの環境変化で、稀にこのような現象が生じることがあります。ガスの火であおられた場合などの重い症状でなければ、1週間ほど平らな場所に伏せて放置していただくと直ります。わずかの間エアコンの風が当たっていた程度の軽い変形は自然に直りますのでお試し下さい。

Q7.白く変色してしまいました
新しい漆器の場合、先に触れた通り、眠っているような状態です。沸騰状態にある汁を入れると、驚いて火傷してしまう場合があります。味噌汁など煮たてない汁物は80度くらいですので問題はありませんが、誤って沸騰させてしまった汁をいきなり注ぐと白く変色する危険があります。ご購入後1年くらいは、沸騰してしまった汁は少し冷ましてから注いで下さい。

Q8.漆器を使ったら、かぶれてしまいました
天然由来の「漆」は、体質によってかぶれる場合があります。もちろん、完成した漆器は、漆の木や漆液のように強いかぶれを引き起こすことはございませんが、ごく稀に、完成品でもかぶれの症状の出る敏感な体質の方がいらっしゃいます。
その場合には、お早めに医療機関で治療を受けて下さい。



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