えっ!鉄瓶に表と裏?

堀江 皓著 「南部鉄器」 理工学社発行 より

鉄瓶の表と裏

「つる」に対して対象になっている鉄瓶にも、表と裏があることを知っている人は、案外少ないのではないでしょうか。絵文様の入った鉄瓶は絵柄のある面が表なので問題ありませんが、霰(あられ)文様や糸目文様のように絵柄のない鉄瓶はどうでしょうか。結構、作品を陳列などする場合に、注ぎ口を右に向けておくか左にするかで悩む場合が多いのです。
(a) (b)
※注 写真は弊社にて撮影したものです。
     
(a)と(b)ではどちらが正しい置き方でしょうか。どちらも正しいような気もしますが、正解は(a)です。これは、客人の前で鉄瓶のつるを右手で持って注ぐことをまず想定してみてください。その場合、客人から鑑賞される面が表となるわけです。このような考えから、注ぎ口が右にみえる面を表とし、その面に絵柄や文字などの文様が施されているのです。
 盛岡にある岩手県立博物館や(財)盛岡橋本美術館、そして「盛岡手づくり村」の展示室に陳列されている数多くの鉄瓶(大変貴重なものです)は、すべて注ぎ口を右にしています。
 このことは一般の人が知らないだけで、その筋の人なら常識でたいしたことでないという考えもあるかとは思います。しかし、これが意外と博物館や美術館で発行しています図録や切手などで鉄瓶が逆になっていることが多いわけで、一度よく注意してみると面白いかもしれません。

こだわりやさんの鉄瓶のページは、弊社にて撮影したものですが、すべて注ぎ口が右を向いていて「正解」なのですが、撮影の時は、上記の話は知りませんで、偶然に「正解」となったのです。( ^_^ ;)  ▲岩鋳 鉄瓶