離乳食と鉄分不足

読売新聞 2003年 7月28日 朝刊 に「赤ちゃんと鉄分」について気になる記事がございましたので、ご紹介させていただきます。

読売新聞「家庭とくらし」より
赤ちゃんABC 離乳食7 
鉄分不足に気をつけて
  離乳食を進める上で、注意したいのが鉄分の不足です。
 鉄欠乏性貧血が3ヶ月以上続いた場合、精神的発達と運動能力の発達(言葉の理解や一人立ちなど)がともに遅れることがあるからです。神経伝達物質を作るのに鉄分が関係しているためです。
 赤ちゃんは胎児のころ、体内に鉄分を蓄えます。多くの場合、その”貯金”は生後5ヶ月ごろから尽き始めますが、母乳に含まれる鉄分は吸収率が高く、育児用ミルクにも鉄分が多く入っています。
 このため、母乳やミルクを飲んでいれば、6ヶ月ごろでは鉄分不足は起こりにくいということです。

 気を付けなければならないのは、離乳中期(7~8ヶ月)以降。この時期、離乳食の回数と量が増える一方、発育に必要な鉄分の量も増え、鉄分不足になる”条件”が整いがちになります。
 国立健康・栄養研究所(東京)などか1999~2000年に、全国の乳幼児(3~18カ月)計2400人を調べたところ、離乳食から摂取する鉄分は、すべての月齢で少ない傾向にあるという結果も出ています。特に生後12ヶ月以上で、母乳・ミルクを飲んでいない子どもは、栄養所要量の50%程度の鉄分しかなかったそうです。
 鉄分が不足すると、すぐに貧血になる訳ではありませんが、調査を担当した同研究所の主任研究員、滝本秀美さんは「不足しやすい栄養素なので、ふだんから意識してほしい」と話します。

 鉄分の栄養所要量は、1歳未満で1日当たり6mg、1~2歳で同7mgです。これに対し、豚レバー(生)に含まれる鉄分は100g当たり13mg、ホウレンソウ(生)は同2mgです。
 カボチャやニンジンに含まれるベータカロチンや果物に多いビタミンCは、鉄分の吸収をよくします。滝本さんも「吸収率をよくする食べ物も大切」と話しています。
 乳幼児の場合、牛乳が鉄分の吸収をさまたげることもあるようです。「料理に使うぐらいは構わないが、生後12ヶ月までは牛乳を与えない方が好ましい」という考え方も広がってきています。
 大人でも鉄分不足は起こりがちです。離乳食をきっかけに、大人の食生活も見直してはいかがでしょうか。



▲体に美味しい南部鉄器