桜・江戸川公園

桜・江戸川公園 3月30日 日曜日
 
今年の東京の桜は、冬寒かった割には満開になるのが早い。今日3月30日(日曜日)、私にとっては、もう花見の唯一の機会となる。満開の桜を愛でないでは損とばかり、今年も家からできるだけ近い桜の名所を捜して赴いた。その場所は「江戸川公園」。地下鉄・有楽町線・江戸川橋駅を降りてすぐの神田川沿いにある細長い公園だ。野鳥公園とも呼ばられているようだ。我が家から無理をすれば歩いていける距離にある。その園内を、川に沿って平行に走る通りに、枝を大きく広げた桜の木々が、歩いて十数分の距離に林立している。桜の枝は障害物のない川に向かって遠慮なくおおらかに伸び、美しく広がっている。通りにはとぎれることなく、スポンサー名が書かれた提灯が吊され、花見のムードを盛り上げている。進行方向に向かって、通りの右手はず
っと高台になっていて、その斜面には木々が生い茂り、都会のオアシスといった風情だ。しかし左手の川を挟んで向こう側は、家やビルが並び、右手とは対照を成している。公園の巾は狭く、通りの両側のスペースは、どこも花見の宴で埋められ、にぎやかだ。夜の宴会の為、青いビニールシートを敷いての陣取り合戦も盛んに行われていた。




 公園内を走る通りは、あの有名な椿山荘の裏玄関に向かって伸びている。十数分歩くと右手によく手入れされた木々が目に入る。椿山荘の庭園だ。そして少し歩みを進めると、さほど大きくはないが、格調の高い椿山荘の裏の入り口、冠木門の前に来た。すぐに中に入ると、右手に日本を代表するホテル、フォー
シーズンズホテルが緑の中から屹立して、堂々たる風格を現す。中は回遊式庭園と呼んで良いのか、高低差のある広大な庭園の中に、散歩道が園内の景観を楽しめるよう、巡らされている。庭園内には、小さな谿流が流れ、その透明度の高さに驚く。結婚式などをとりおこなうメインの建物の方に向かっていくと、庭園に張り出したデッキ上で、人だかりができていて、新郎新婦が写真撮影を行っている。しばらくみとれてながめていた。それから正面玄関にでると、目白駅行きのバスがちょうど停まっており、迷わず乗り込んだ。目白駅付近では、ちょっと小粋な蕎麦屋見つけ入った。そして花見の宴とばかりに、大好きな日本酒を飲んだ。そばに桜はないが、先ほどの桜を思い浮かべながらの花見酒だ。


 目白から池袋サンシャインのビルが見える。たいした距離ではない。そのまま歩いて池袋に向かった。池袋は私の地元。歩いていくと、すぐに見慣れた風景に出会う。確かこのあたりに、自由学園明日館(みょうにちかん)があるはず。すぐそちらに向かった。自由学園は1921年(大正10)、羽仁吉一、もと子夫妻が設立したキリスト教精神に基づく一貫教育を行う学校だ。この明日館を有名にしたのは、旧帝国ホテルを設計した、アメリカの巨匠、フランク・ロイド・ライトの設計によることからだろう。現在、重要文化財に指定されている。現在でも結婚式など行われている。中にはカフェ、雑貨店などがあり、一般の人が利用できる。ただ結婚式がある日は、一般の利用は制限しているようだ。建物は幾何学模様のラ
インが見事に活かさた瀟洒な洋館で、独特のムードを発散している。実際外観を眺めてみると、写真で見るよりずっと可愛らしい。正面の道路に面した柵沿いには、桜が満開で、柔らかな薄紅いろの花びらと、明日館の外壁の緑色の部分が、美しいコントラスト成している。
 小さな観光を終え、静かな住宅街をぬけて、池袋の駅の近くのカフェに入った。そしてビール。今日は花見なのだ。



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