名曲「武蔵野の雨」そして「平林寺」


男声合唱組曲「雨」   作詩  大木惇夫  作曲  多田武彦
  「武蔵野の雨」

群鳥(むらどり)を追いながら
どの土地を濡らしにゆく
月の夜ごろを掠(かす)める雨
櫟(くぬぎ)の匂いのぷんとする雨
武蔵野の雨

群鳥:群がり集まった鳥   櫟(くぬぎ):ブナ科の落葉樹
 埼玉県新座市の「平林寺」を訪れた。境内にはいると、いつの間にかこの歌を口ずさんでいた。男声合唱の経験者なら、知らない人はまずいないバイブル的存在の合唱曲「雨」の中の1曲だ。平林寺が私にこの歌を思い起こさせたのは、平林寺の境内が大変武蔵野の面影を色濃く残していたからだ。
 男性合唱曲「雨」の第2曲にあたるこの歌(詩)は、視覚的、絵画的で、雑木林とそれを取り巻く空気までもが感じ取れる。雨を歌い、そして雨の登場によって、見事に武蔵野が表現されているように感じる。旋律は静かに情感込めて歌われる。(作曲家の指示として「遅く、印象深く」と表記されている。)
 平林寺は、埼玉県新座市野火止にある。クヌギやコナラなどの木々が豊かで深い雑木林を形成している。雑木林は1967年(昭和43年)に国の天然記念物に指定された。

平林寺:永和元年(1375年)埼玉県岩槻に創建。寛文3年(1663年) 川越藩主松平信綱の遺言により、子の輝綱が菩提寺として野火止に移した。

私の思う「武蔵野」。・・・平地や緩やかな丘陵地帯の中に、屋敷、田、畑、雑木林、小道などが織りなす調和ある風景。日本の原風景的存在。雑木林は鑑賞的存在などではもちろんなく、薪や炭を調達したり、防風林の役目を担ったのだろう。すべては人の手による、生活に根ざしたものが集合した感があり、合理的世界と呼べるのかもしれない。「自然」を手つかずの世界と考えると自然と呼べないかもしれないが、人の営み、生活の中に動植物を受け入れ、共存の世界を築いていったら、それはそれで人が創造した「自然」なのだと思う。

山門 雑木林が広がる。
仁王像 仏殿
仏殿の見事な茅葺き 本堂の中門
広大な雑木林 野火止用水かその分水
武田信玄の娘の墓 松平家墓所
松平信綱の墓がある。
放生池 放生池弁天堂



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