下町 「浅草」


にぎわいが楽しい下町 浅草

 旅は日常の生活空間からできるだけ離れた所の方がいい。それが旅らしい。旅が楽しいのは日常性から距離をおける、ということがある。しかし観光地と呼ばれる所は日本にたくさんあり、そこには多くの人が住む。ということは皆、大なり小なり近くに観光地を持っている人が多いということだ。でも案外皆、身近の観光地には行かないものだ。それはいつでも行けるという気持ちが邪魔をし、行きそびれることと、やはり
旅は遠くないと気分がでないということからでもある。
 僕は東京生まれの東京育ちだ。最近身近な所へ行っても、旅情を感じることができる特技を身につけてきた。時に近所でも、わくわくしてくるのだ。かって旅先で見た平凡でも(そういうものの方が心に残ることが多い)心象風景として刻まれているものが、身近な景色
から呼び出されるのだ。
 今回のゴールデンウィークの旅は下町情緒たっぷりの「浅草」。国内外から多くの観光客が訪れる。ちなみに私の家からは40分ほどで到着だ。今回生まれてから記憶に残っている訪問としては2回目。じっくり歩くのは初めてなのだ。
 地下鉄 銀座線「浅草駅」を降りて、明るい通りにでるとそこは「下町」という空気がみなぎっている。最初に目にはいるのは、大きな提灯のかかった雷門、そして「仲見世通り」だ。ここが一番浅草を感じさせてくれる。浅草寺本堂に向かってまっすぐ伸びた通り。軒先、高さがきれいにそろい美しい。これは裏通りを通ると解るのだが最近建てかえたようだ。建物がブロックごとに分かれ、そこに数件の店が入っている。裏通りから荷の積み卸しができるようになっており、大変合理的な造りだ。軒先、建物間口がの間隔がそろいすぎていて、プレハブのような不自然さを感じそうだが、極彩色の多くの商品が店を覆い、それを全く意識させない。

写真右上 仲見世は雷門から宝蔵門までの約300mの門前商店街


小学校3年の娘は、お気に入りのキーホルダー探しによねんがない。それに気が奪われていて、混雑の疲れを感じないようだ。ママは、人形焼き 揚げ饅頭など帰りに買う甘い物探しだ。僕は、ホームページのことを思いだし、電子カメラを持ってこなかったので、使い捨てカメラを買い求めた。
  
浅草寺 都内で最も古い寺院。
本堂 五重塔は1945年の空襲で焼失。本堂は1958年再建。
五重塔は1973年建造された。

左写真は山門である宝蔵門。
左写真 浅草の顔。浅草寺 本堂 

今日は気温がかなり高く少し蒸し暑い。だが巨大な本堂に入ると、天井が高くひんやりして気持ちがいい。EC事業部のさらなる発展を願い拝んだ。
左写真 五重塔 高さ53.3m。

五重塔の前に来るとものすごい人の波も途絶え、若干の静けさが漂った。一瞬ほっとした。
 心はすぐに境内の屋台に奪われた。前から屋台に入りたかったのだ。やきそば、たこ焼き、お好み焼き、だんご、焼き鳥、ビール。多くの店が寄り添って並んでいる。テントの中には、椅子とテーブルが用意され、そこで食事ができる。僕は、屋台と五重塔が同時に目に入るにぎやかな通りの一角の店に入った。すごく大きなタコの入ったたこ焼きとビールを注文した。別にたこ焼きが食べたかった分けではない。その場所のとりまく景色の設定が良かったのだ。どこか京都へでも来たような(京都から浅草を訪れる人も多いだろうが)、いつか見た景色のようだった。旅情を感じた。でもたこ焼きで腹がふくれるのが一寸つまらなかった。


 屋台を出て、「花やしき」へ向かう。途中にレトロな温泉の建物があった。
 ディズニーランドと比べれば、華やかさ豪華さは比べものにならない。しかし子供にとっては、どれだけ没頭して遊べる対象であるかが問題で、遊園地の優劣はたぶん存在しない。それはおとなが作り上げたものだ。(もっとも僕はディズニーランドへ行ったことがない)

 この「花やしき」 人がすれ違うにも苦労するぐらい狭い。でも係員は丁寧で、気持ちのいい遊園地だ。狭い土地に凝縮して建てられた工夫とそれらが織りなすちょっとした猥雑さがなんともいい。

 なかは相当混んでいて、娘とは回転の早い(あまりならばなくていい)、ちょっと恐怖を煽るアトラクションを選んで入場した。娘は、高くそびえるタワーからの上昇下降するアトラクションを選んだのだが、並んでいる途中に恐怖で泣き出してしまった。それでも中途逃亡はせず、乗り終えたものの、降りてからもまだ泣いていた。僕も一瞬の重力変化によるあの得体の知れない、よりどころを得られない感覚。それにまいってしまった。
上写真 「花やしき」の入場口。
入り口は大変狭い。でもなにかとっても家庭的な味わいがある。花やしきは日本最古のジェットコースターである「ローラーコースター」がある。
 旅はみやげ屋に入るのが楽しい。普段は振り向きもしない商品達ががぜん素敵に見える。それがいいのだ。だって非日常的なものだから。
 帰りはまた境内を通り抜けた。また屋台の誘惑にかられ、入ってしまった。かき氷、ソースのいっぱいかかった焼きそば、そしてビール。ソースは相当たくさんかかっていて、ちょっとしょっぱい。今時めずらしい濃いめのソース主体で味付けされた焼きそばだ。懐かしい味がした。

そこから仲見世通りのとばくちあたりのお店に入り、焼きたてのほかほかの人形焼きを買い求め、また戻って、仲見世通りでない、駅へ向かう別の通りを選び浅草と別れをつげた。



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