「釜焼き」 「漆」仕上げ・・・南部鉄瓶の伝統的仕上げ

 鋳型から取り出した鉄瓶の表面をきれいにして、本体及び蓋を炭火で800~1000℃程度の温度で真っ赤になるまで焼きます。それにより表面に酸化皮膜が付きます。この作業を「釜焼き(金気止め)」といいます。この皮膜は鉄瓶の中と外にできます。外は、はがしますが中はそのまま保ちます。(防錆の役目を担います)
 内部はそのままで、外の表面を研磨します。研磨が終わると、300℃程度の温度で加熱します。加熱の後は、下塗りとして、「漆」を塗ります。

・黒系の鉄瓶の着色には黒漆(生漆)
・茶系の鉄瓶の着色には生漆(漆の原液を精製したもの)+紅柄(酸化鉄)

上記の下塗りが終わると100℃程度に加熱します。そして次の液体を塗ります。

・黒系の着色には「おはぐろ(鉄しょう液+茶汁)」
・茶系の着色には「鉄しょう液(酢酸鉄溶液)」

上記が終了すると水洗いをして、布でよく磨きます。

鉄瓶の表面に凹凸がある場合は、磨かれ光沢のある部分と磨かれず光沢のない部分が生まれて、独特な肌合い、風合いが生まれます。

 堀江 皓著 「南部鉄器」 理工学社発行 参照
鉄瓶制作のほんの一場面ですが、それにしても多くの工程を経るものです。