熱に強いシリコン製へら
         スパチュラで楽々料理
2002年8月20日 読売新聞 朝刊より 家庭とくらし
シリコン製のスパチュラ(ヘラ)は、柔軟性があるゆえ、金属や木製品にない特性をもっています。
上手に利用して料理の幅を広げていきたいものです。
お菓子作りには欠かせない道具、スパチュラ(ヘラ)。ホイップクリームや練ったバターをぬぐい取る時などに活躍するが、これを幅広い料理で使う人が増えてきた。熱に強いシリコンゴムが使われてきて耐熱性が高まり、形や大きさも多様になったためで、てんぷらやいため物に使えるものも登場している。

 洋菓子研究家の石井麻理さんがカスタードクリームを火にかけて練る時、以前使っていたのは木製のヘラ。鍋底にへばりついて焦げやすいクリームの扱いが、熱に強いシリコン製のスパチュラを手に入れてから劇的に楽になった。
 「以前のゴム製のものだと、うっかり加熱した鍋に入れると溶けてしまいましたが、今のは安心。クリームが鍋底からスルっとはがれ、失敗知らずです」と話す。
 ホワイトソースを練る時やミートソースをいためる時にも使うようになり、ならば料理全般にと、ボウルで作ったドレッシングやあえ物のゴマをぬぐい取る時などにも用途が広がった。「スプーンやはしでは取りにくい、最後に残った一すくいが、実は一番おいしかったりします。スパチュラがあると、料理の幅が広がります」という。
 シリコンゴムは、耐熱性やはっ水性に優れた素材で、調理器具としては熱に強いだけでなく、傷やにおいが付きにくいという特徴がある。
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 人気が高いのは、仏メーカー「ル・クルーゼ」社の品で、ヘラ部分が赤や青など五色ある。三百三十度の熱まで耐えるため、てんぷらのかき揚げを作るときにも使える。
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「スパチュラは製菓用品として取り扱ってきましたが、料理全般に使う人が増えています」と、バイヤーの徳満信吾さん。ただ、同じシリコンゴム製でも、耐熱温度がメーカーによって異なる。「二百度までの製品を揚げ物に使うと溶けてしまう。メーカー側が製菓用と調理用をはっきり区別して明記する必要もありますが、購入する際によく調べて欲しい」と話している。