子ども用包丁 楽しく料理 ・・・大人はせかさず見守って

 2003年(平成15年)8月2日(土曜日) 読売新聞より
 子ども用の包丁が充実してきた。夏休みなどに料理の楽しさを教えようと、子ども向
けの料理教室も盛んだ。子どもが包丁を使う時はあまり口出しせず、子どもの力で料理が完成できるように見守ることが大切という。

 神戸市の料理研究家坂本廣子さんは、幼稚園児などにも包丁を持たせ、料理を教えている。「その子に合った包丁を選び、きちんとした使い方を覚えさせれば、幼児でも上手につくりますよ」

 最近は、※「食育」が盛んで、幼児や小学校低学年を対象にした料理教室も多数開かれている。学校でも低学年から、生活科の授業などで料理をする機会が増えている。このため、低年齢でも使いやすい包丁を求める声が出ていた。
※食育 
 子どもに「食」への関心を持たせるための教育活動。食生活の変化や、食の安全を揺らがす問題が起きていることから、行政や企業、学校など様々な立場で取り組みが進んでいる。料理を通じて食材に触れたり、栄養について考えたりすることも多い。


 坂本さんによると、子どもが使いやすい包丁の刃渡りは「子どもの握り拳二つ分」。大人用の一般の包丁に比べるとかなり小ぶりだ。ただし「小さければ良い」というわけではない。柄より刃が軽いと、切るときに余計な力が必要になり、誤って指を切ったりする原因になりやすいという。「子どもが果物ナイフで食材を切ろうとしても、刃が細く軽すぎるため、力の入れ具合が難しい」
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 奈良教育大教授(家庭科教育)の鈴木洋子さんも、東京の国分寺や世田谷などで料理教室を開いている水越悦子さんらの協力を得て、刃渡り十.五センチの子ども用包丁を作り、竹内刃物製作所(岐阜県)で製造販売を始めた。 このほか、安全性を重視し、包丁の先端と根本には刃をつけていない子ども用包丁なども市販されている。
 小さい子どもの場合、包丁は食材をぶつ切りしたり、みじん切りしたりするときに使う。野菜の皮むきなどは難しいので、皮むき器を使う。

 包丁でけがをしないためには、教え方も大事。「まず『包丁の下に指を置くと切れるから、それはやらないでね』と約束することから始めてください」と坂本さん。包丁を使わないときの置き方も最初に教える。また、大人が手を添えて包丁の持ち方を教えるのは極力控えるようにする。あまり手が出しすぎると、子どもが振り払おうとして、けがをする場合があるからだ。

 「初めての料理」として坂本さんが勧めるのは「エノキダケのつくだ煮」。子どもが包丁でぶつ切りにしたエノキダケを鍋に入れ、みりんとしょうゆを加え一、二分煮るだけで完成する。
 「大人が目を離さないのは当然ですが、時間がかかってもせかさず、最後まで見守って。料理ができたら『おいしい』と褒めてください。子どもの自信になります。」と坂本さんはアドバイスする。
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