辛い食べものは肥満を防ぐとういが、ホントか

辛い唐辛子はダイエットに効果があるとよく聞きますが、ホントのところどうなのかよく分かりません。科学的な説明を聞きたいところです。
稲神 肇 著    「おいしさ」をつくる科学   柴田書店 
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昔から、トウガラシなどを多くとる人たちには、肥満者は少ないといわれてきました。たとえば、日常的に辛い食事をとっている韓国、タイ、マレーシア、インドネシアなどには、肥満者は少ないとされていました。
 このように漠然とは、激辛料理には肥満を防ぐ作用があるらしいと考えられていましたが、最近の研究で、辛み成分と体内脂肪減少との関係がわかってきました。
 辛み成分が腸から吸収されると、これが交感神経を刺激しアドレナリン(ホルモン)の分泌を促します。分泌されたアドレナリンは「体熱発生機構」を刺激します。ホルモンが体熱の発生を促進するのです。この熱源にはグリコーゲンや貯蔵脂肪が使われます。
 トウガラシを食べると体が温まり、汗が出るのは、このためです。その分だけ貯蔵エネルギーが消耗しています。
 簡単にいうと、トウガラシは体内脂肪を分解させる効用を持っていたのです。トウガラシのほかに、コショウ、マスタードなどの香辛料も、アドレナリン分泌を促進します。
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 また、ジョギングなどの運動でもアドレナリンの分泌が促進され、貯蔵エネルギーが消耗することが知られています。
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 体重増加を心配する若い人たちは、得体の知れない低カロリー食品をとるよりも、辛いものを食べましょう。このほうが栄養バランスが保てます。また、激辛料理は若者だけの食べものでなく、下腹が太くなり出した中高年齢者にも好ましい食べものだったのです。
 料理の風味づけに、香辛料を上手に使うと食塩使用量が少なくなり、動脈硬化や脳卒中の予防にもなります。香辛料の効用を見直しましょう。